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部屋を出てすぐ、あたしは広間へと来ていた。


郁美が紙から顔を上げてあたしを見る。


「明日花、大丈夫だった?」


「うん……大丈夫だよ」


あたしはそう返事をして、郁美の隣に座った。


横目で郁美が紙に何を書いているのか見て見ると、『公園で遊んでいる自分』と、書かれていた。


やっぱり、記憶の中のあの少女は郁美で間違いない。


「ねぇ郁美、思い出さない?」


「え?」


あたしの問いかけに郁美は首を傾げた。


「公園ってさ、学校の近くにある大きな公園でしょ? ゾウさんの滑り台があって、色鉛筆の上り棒があるの」


そう言うと、郁美は目を見開いた。


「どうして知ってるの!?」


「あたし、あの頃郁美と一緒に遊んでたんだよ」


「え……?」


郁美は何度も瞬きをしてあたしを見る。


「あの公園は地域の中でも一番多きかったから、近くの小学校や幼稚園、保育園の子たちが自然と集まってきてたよね。その中に、あたしと郁美と健の3人がいたの」


「そう……だったんだ……」