小学校の近くには大きな公園があって、そこがあたしたちの遊び場になっていた。


幼い頃の健の姿をハッキリと思い出す事ができる。


そして輪の中には郁美の姿まで。


郁美は小学校は違ったけれど、あの公園では他校の生徒たちともよく遊んでいた。


郁美は、きっとその中の1人だったんだ。


他にも何人もの友達が公園に集まって来る。


近隣の小学校や幼稚園から来る子供たちと、あたしたちはすぐに打ち解けて遊んでいたんだっけ。


何の抵抗もなく友達になれていたあの頃を思い出し、あたしは自然とほほ笑んでいた。


いつからだろう。


損得で友人を選ぶようになったのは。


そう思うと、今の自分がひどくけがれて見えてしまう。


だけど、内心ホッとしていた。


あたしと郁美はこれほど前から友達だったんだ。


利用してやるとか、そんな事微塵にも考えていない。


幼い自分は素直に、ただ郁美の事が好きで友達になっていたんだ。


「明日花、5分経ったぞ」


ドアが開いて健の声が聞こえて来て、あたしは目を開けた。