全員が入らないといけないなら、順番を後回しにしていても仕方がない。


あたしは自分から名乗り出て、ドアの前に立った。


「明日花、大丈夫か?」


健があたしの手を握る。


「うん、大丈夫だよ」


あたしは笑顔で健を見上げた。


「無理はするなよ?」


「わかってるよ」


そう返事をしていると、伶香が「どれだけ過保護なのよ」と、隣から冷やかして来た。


「心配なんだから仕方ないだろ」


健が照れながらそう言い、あたしの手を離した。


そのやりとりにクスッと笑い、あたしはドアノブに手をかけた。


「じゃぁ、行ってくるね」


「おぉ。行って来い」


健の笑顔を見て、あたしは部屋の中へと入って行ったのだった。