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それから5分後。


ドアを開けると郁美がふらつきながら出て来た。


あたしはその体を受け止め、廊下の端に座らせた。


「郁美、大丈夫?」


「どうにか大丈夫だよ。5分くらいなら、感情も爆発しなさそう」


郁美は大きく深呼吸を繰り返して、そう言った。


「どうだ? なにか思い出したか?」


後ろから弘明が聞いてくる。


「うん……今日は7歳の頃の自分を思い出してた。友達と一緒に公園で遊んでる時の事」


「友達って?」


「よくは思い出せないの。だけど小学校の頃仲が良かった子たちだから、えっと……」


郁美は何人か友達の名前を上げていく。


郁美と同じ街で育っているあたしと健は聞き覚えのある名前が何人かいたけれど、弘明と伶香はずっと首を傾げていた。


「まぁいっか。それも一応全部書いておいてくれ」


弘明に言われて郁美は「わかった」と、広間へと移動して行った。


「さて、次は?」


伶香がそう言い、面々を見回す。


「じゃぁ、あたしが行こうかな」