その一方で、健への気持ちが大きく膨らんでいた。


好きだと言う感情が大きくなり、その気持ちを制御することはとても困難だった。


「ねぇ、どうしたの?」


伶香のそんな声がして、あたしは顔を上げた。


伶香は心配そうな表情で郁美を見ている。


郁美はさっきと同じように唇をかみしめたまま、紙は白紙のままだった。


「郁美?」


そう声をかけると、郁美が目を大きく見開いてあたしを見た。


その血走った目に一瞬たじろく。


「ど、どうしたの?」


伶香と同じようにそう聞くと、郁美は眉間にシワを寄せた。


そして、ゆっくりと立ち上がる。


「部屋で何をしてたの……?」


消え入りそうな声で郁美が言う。


「え?」


あたしは首を傾げる。


「健と2人で、部屋で何してたの!?」


突然怒鳴り声を上げ、あたしの肩を押す郁美。


咄嗟の事で身構える事もできず、あたしはそのまま椅子から転げ落ちてしまった。