そのままの君で

「由乃、ほら」

一番前に来ても顔を上げて
確かめられない私に麻琴が囁いた。

「うん」

いつまでもこんな事やっていられない。

閉じていた目を開き
下を向いたままの顔を上げた。

白い紙に黒字の数字が並んでいる。
300個も数字が並んでいるのに
その数字を私は一瞬で見つけた。

「あ、あっ、あった!」

声が裏返えってうまく言えない。

「うん、おめでとう」

麻琴はそう言って笑ってくれた。