そのままの君で

「ちょうど、来週バレンタインじゃん。
チョコレート渡してコクっちゃえば?」

コクっちゃえば?
なんて簡単に言うけどね、そんな事できればこの1年間悩んでいない。

気持ちを伝える事より
その後の結果を知る事のが怖い。

「いーじゃん、
クラス離れたらそんな顔合わさないし」

麻琴みたいな男前に生まれたかった。

「麻琴の爪の垢でも飲もうかな」

「あはは、お腹壊すよ」

豪快に笑う麻琴に話すとなにか解決策が見つかったわけじゃないけど気持ちが少し楽になる。

「チョコレート、考えときなよ」

別れ際、そう言った麻琴。
チョコレートかぁ、バレンタインかぁ
頭の中がチョコレート一色になる。