そのままの君で

「伊藤、見せてくれな」

意味はない。
わかってる。
教科書がないから隣の私に見せてと
言ってるだけなんだとわかってる。

だけど、心臓は今にも飛び出すんじゃないかってくらいドキドキして口元と目尻がニヤリと下がってしまう。

少しだけ近づけた机の距離に
気が遠くなるくらいの幸せを感じる。

この近づけた距離みたいに
私と旬君の距離も近づけたみたいで。