それから一週間
桐原さんは自室に籠もりがちになった。
一応夕飯の時は出てきて共にするのだけれど、どこかボンヤリとしている。
「今日のご飯はどうですか?」
カレーを作った本日、試しに感想を求めてみると
「俺はバーモントカレーよりジャワカレー派だ」
と即座に答えが返ってきた。
どうやらボーッとしているように見えて、そこまでボーッとしていなかったようだ。
「ちなみにジャガイモはもう少し大きく切れ」
と更に一言付け加えるのも忘れない。
「はーい」
もう二度と感想は求めんと私は心に誓った。
カレーを食べ終え桐原さんは再び自室に引きこもった。
まぁ、元々そこまでリビングにいるわけでもないけども。いたとしても、大して会話もないし。
それにしても…
私は桐原さんの部屋のドアに耳をくっつけ、中の様子を探ってみる。
相変わらず物音はせず、気配も薄い。一体何をやっているのか。何を考えているのか…。
考えても分からないので、私は桐原さんが暫く出てこなさそうな事を確認し、冷蔵庫を開けた。
中には部長が営業先から貰ってきたという某有名店の苺のショートケーキが…!!
私は一人ニヤニヤしながら、至福のおやつタイムに突入。
桐原さんには悪いが、ケーキはひとつしかないので残念ながら譲ることは出来ない。断じて、譲ることは出来ない!