……先生の懐中電灯、ついてるじゃん。
「先生、ずっと懐中電灯付けてましたか?」
俺と同じことを思ったらしく、実花はそう先生に尋ねた。
先生は俺の手の甲にハンコを押しながら「当たり前だろ」と一言。
「この山の中で懐中電灯無しで立ってるとか拷問だろ」
「じゃあ、俺たちを待ってる途中にここまで移動したりしました?」
「まさか。1組目が来た時から俺はずっとここにいるぞ」
……あーあ。
実花、絶対おかしなもの見てたな。
確実に実花が見た光っていうのは、先生が持っていた懐中電灯の光じゃない。
「湊君……私すごいもの見ちゃったかもしれない……」
手の甲にハンコを押されながら実花はポツリと言った。



![[完結]初雪が降る前に~君がくれたもの~](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10207-124.png)