[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。




……先生の懐中電灯、ついてるじゃん。



「先生、ずっと懐中電灯付けてましたか?」


俺と同じことを思ったらしく、実花はそう先生に尋ねた。

先生は俺の手の甲にハンコを押しながら「当たり前だろ」と一言。



「この山の中で懐中電灯無しで立ってるとか拷問だろ」



「じゃあ、俺たちを待ってる途中にここまで移動したりしました?」



「まさか。1組目が来た時から俺はずっとここにいるぞ」



……あーあ。
実花、絶対おかしなもの見てたな。

確実に実花が見た光っていうのは、先生が持っていた懐中電灯の光じゃない。



「湊君……私すごいもの見ちゃったかもしれない……」



手の甲にハンコを押されながら実花はポツリと言った。