[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。




「……おかしいな。この辺のはずなんだけど」



実花は足を止め、あたりを見回す。
近くに人の気配は感じられない。

本気で気味わるくなってきたな。


「……進むぞ。先生がいるとこまで」



今度は俺が実花を引っ張って、前へ進む。

時折きちんと実花がいるか確認しつつ。
振り返るたび実花は悩ましげな表情を浮かべ首をかしげていた。


それから数分歩いて、ようやく見つけた。



「先生。俺たちで最後だからもう戻れますよ」



木にもたれかかり大あくびをしていた、体育の教科担任の先生。



「おおー、じゃあふたりとも手の甲だせー」



先生はそう言ってから懐中電灯を顎と首で支えカバンの中を照らしてハンコを出した。