[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。




「……蛍が一瞬光った、とかじゃなくて?」


「え?今もはっきり光ってるじゃん。ほらよく見て」



実花の指が示す方をじっと見るけど、やっぱり何も見えない。

ぼんやりと月明かりが木々を照らしているだけではっきりとした人工的な明かりはどこにも存在しない。


こいつ何か変なもの見てるんじゃ……。



「あ、消えた。先生懐中電灯の電池切れちゃったのかも。早く行ってあげよう!!」



実花はそう言って俺の手首をつかみ走り出した。



「実花!!こけるなよ!!」


「分かってるよー!!」



足場の悪い山道を身軽に走っていく実花。
案外こいつ、野生児なんじゃ……。