そう言うと若菜は首をかしげた。



「なんで今お礼?」


「んー、言いたくなった!!」



そう言ってニコニコ笑うと、若菜はなぜか頬を赤らめた。

ど、どうしたの……?
突然熱中症になったの……?



「まじで可愛いんだけど……!!実花、悪い男子に気を付けてね!!本当に!!」



若菜はひたすら「あたしが守らなきゃ」なんていう言葉を呪文のように何度も唱えていた。


私は首をかしげつつ、後ろの席にまわり荷物を置く。

新しい机は、中学のものと比べたらひとまわり程度大きい。


落書きもコンパスの針で作られた傷もない、綺麗な机。


そして人の姿がまばらにある教室を見渡した。