うつむきがちに教室のドアを開けて、足を一歩踏み出した瞬間。 ――――ドンッ 誰かの背中に顔をぶつけてしまった。 慌てて顔をあげると、そこには……。 「みな……伊塚君」 なぜか満面の笑顔を浮かべた湊君がいた。 「“はじめまして”。えっと……名前は?」 うっ、怒ってる。 顔は笑ってるけど、目が……。 …あ、そっか。 今日が初対面の日だって、周りの人に認識させないといけないのか。 それなのに私が名前で呼んでしまったから、怒りの琴線に触れてしまったみたい。