「アホだろ。キャベツと間違えて自分の手を切ったんだよ」 いやいや湊君。 聞かれたの私だから。 『アホでしょー』とか言って自分をディスって笑っていいのは私だよね? 湊君じゃないよね? 私のそんな心の声に気付くことなく長松君は顔をしかめて言った。 「うっわ。痛そう」 「……長松も、その手どうしたんだ?」 「あー、ガムテのテープカッターでざっくり」 湊君の問いかけに苦笑しながら長松君は右手の平を広げヒラヒラと振る。 ……長松君も十分痛そう。