アハハハハハ。

幸せな笑い声は、風に煽られ、樫の木の元にまで届く。
柔らかな春の木漏れ日を浴びた白いブランコが、笑みに押されフワリと揺れる。

『琶子、私の予感、当たったでしょう。きっと貴女は幸せになれるって。お兄様と結婚するって』

カサカサと立てる葉音と、クスクス笑う少女の声が重なり、木霊となり、シロツメクサの種を大地に散らす。

『だから……永遠にお兄様を愛してあげてね』

種は地に根を張り、クローバーの葉を生やし、また、シロツメクサの花を咲かせる。

『私も永遠に、この地に愛を降り注ぐ。眠りの森のシンデレラとなった琶子、貴女と共に』

優しい風が吹く。三つ葉がひしめく間から、四つ葉がソッと顔を出す。
それが約束の印だというように。





【眠りの森のシンデレラ】
 ~The End~