6月25日am10:00in寮


病院での出来事は誰も聞いてこなかった


蓮のお母さんは回復に向かっているらしく、蓮はバイトを減らした


特に変化はないが土曜日の今日、来週に控えた期末に向けて勉強している


「…もう無理ー!」

「うるせぇ!バカ昴」


今回は範囲が広いらしく中間の時以上に空気がピリピリしている


「私も今回は無理かも…」


「俺も…」


華や陽斗が弱音を吐く


「黙ってやって下さいよ。終わらないじゃないですか」


珍しくイライラしてる裕也


「…教えようか?」


皆の様子を見兼ねて思わず声をかけてしまった


この後、後悔するとは思わずに…




「…だから、この問題は三角関数の2倍角の公式を使うんだって」


あれから2時間、昴以外は何とかなったけど、昴が全くできていない


「…おい、昴。お前、いい加減理解しろよ」


陽斗まで怒られてる


「…う、だってわかんねぇよ」


「少し休憩しようか」


「じゃあ、お昼作ってくるね」


私の言葉に華が答える


「やっと休憩…」


昴が溜息をつきながら寝転ぶ


「そういえば、今年はどうする?」


蓮が思い出したように言う


「誕生日パーティーのことだ。皆7月から8月が誕生日だから、一昨年と去年はまとめてやったんだ」


不思議そうにしてると愁が答えてくれた



「いつも通りでいいだろ」


陽斗が面倒くさそうに言う


「藍雪は誕生日いつ?」


「2月20日だけど?」


昴の問いに答える


「あぁ、だから"雪"が名前に入ってるんだ!」


「じゃあ、"藍"の由来は?」


昴と蓮が私の名前に興味を示す


「"藍"はお父さんがつけてくれた。

藍の花は9月から10月のものなんだけど、花言葉は"美しい装い"、"あなた次第"の他に、

"周囲の人にとって癒しとなる、優しい女の子になってほしい"って気持ちを込めてつけたって言ってた。」


「そうか、いい名前だな」


陽斗が微笑んで言った




「…あ、ありがと」


「あれ?珍しく藍雪が噛んだ」


陽斗の笑顔に思わず噛んでしまうと、昴に突っ込まれた


「うるさい」


「すみません」


私の言葉にシュンとする昴


「お昼できたよ」


「待ってました!」


華の言葉に驚くほどの立ち直りを見せる昴



この日は何事もなく終わっていった