5月10日am9:00in病院


病院の305号室


佐野洋子と書かれた部屋に蓮はノックもせずに入る


「…母さん!」


「蓮?どうしたの?」


ベットの上には綺麗な女の人が座っていた


「…どうしたも何も、発作は?」


「あぁ!大丈夫よ、先生は大袈裟なんだから」


元気そうな様子を見て蓮は膝をついて溜息を吐く


「そうか、よかった」


「それより、蓮。こちらの女の子は?」


「寮の西園藍雪ちゃんだよ」


「はじめまして。西園藍雪です」


頭を軽く下げながら言う


「そうなの!いつも蓮がお世話になってます。」


蓮のお母さんは優しい笑顔で微笑んだ




「蓮!」


陽斗や他のみんなが病室にゾロゾロと入ってきた


「みんな、来てくれたんだ。でも大丈夫だって。」


「良かったな」


「うん、心配かけてごめんね」


蓮が申し訳なさそうに言うが皆は大して気にしてない様子だった


「じゃあ、私達は帰ろっか?」


「そうだな」


「あぁ、長居しても悪いし」


華の言葉で私達は病室を出た




「ごめん。私用事あるから」


病室の扉を閉めたところで言う


「用事?藍雪も誰かが入院してるの?」


華は不思議そうに聞く


「えぇ。母が302号室に入院してるから」


「そうか。挨拶はしていってもいいか?」


陽斗の言葉に私は予想外のため驚くが表には出さなかった


「少しだけなら」


そう言って蓮以外の皆を連れて302号室の前まで来る


「少し待ってて」


「分かった」


陽斗の返事を聞くと私は病室に入り陽斗達に見られないように扉を閉める


その理由は……


「…お母さん」


「…………ら、な?」


「うん」


私の母は精神的な問題で入院してる


あの事件のショックで1年前から、いきなり感情が不安定になる


「お母さん、寮の人達が来てて、挨拶がしたいって」


「……いやよ。人に…あ…いたく…ない。」


母は昔からどこか心の弱い人だった


だから、私が守らなきゃいけない


だって…たった1人の家族だから