私は愛と闇の間で揺れる(仮)

5月25日pm11:00in寮



剣道の稽古から帰るとリビングで裕也が勉強をしていた


「おかえりなさい。藍雪さん」


「ただいま。…勉強?」


「はい。これでも一応父の跡を継がないといけないので。」


裕也は日本でもトップの久保財閥の跡取り息子だったなと思い出す


「そっか。…でも、頑張りすぎると体に良くないと思う」


「…勉強しなくても簡単に1位になったあなたに何が分かるんですか?

親からは将来を期待され、親戚には自分の立場を狙う輩がいる中で、頑張らない方法なんてあるわけが無いじゃないですか!」


「……」


「何も知らないくせに勝手なことを言わないで下さい‼︎」


裕也は苦しそうに息を切らせながら怒鳴る


「どうしたの?」


華、愁、陽斗、蓮が入ってくる


「…すみません。何でもないですよ?」


裕也は苦しいんだ


きっと1人で頑張ってきたから


誰にも言わずにこうやって色んな気持ちが積み重なってふとした拍子に爆発しそうになる


「…裕也。私はあなたじゃないから、あなたの気持ちは分からない。それに私は私なりに努力をしている。」


「…そんなこと分かってます」


「多分ここにいる皆、あなたの気持ちを全ては分からないと思う。だけど、支えることはできる。」


裕也の腕を掴んで下から私より背の高い裕也の目を逸らさずに見る


「あなたは1人じゃない。

陽斗、蓮、華、愁。彼らならあなたを支えてくれると思う。

辛いなら辛いと言えばいい。

苦しいなら助けてと手を伸ばせばきっと握り返してくれる。」


「……っ、迷惑かけたくないんです…」


裕也は鼻声で話す



「迷惑かどうかはあなたが決めることじゃない。…彼らが決めることだ。」


「そうだよ!裕也。もっと俺らを頼れよっ」


「あぁ。俺らは仲間だろ?」


「裕也。裕也はしっかりしてるから大丈夫だって思ってた。気づかなくてごめんね…」


「裕也、俺も気づかなくて悪かったよ。財閥の跡取りが気楽なことじゃないのは分かってたのに」


昴、陽斗、華、蓮の言葉に裕也は「ありがとうございます」と言って笑った


何かが吹っ切れたような顔で