朱里が出ていってから、10分くらい経った時に、それぞれの想いが動き始める。
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「……中谷さん、大丈夫?」
優しい声に、身体を起こす。
「澤田くん……」
私のことを心配そうに見てる澤田くん。
「教室に行ったら、染谷さんが走ってきてさ、教えてもらったんだけど、もしかして泣いてた?」
……どうして、いつもこんな時に現れるのかなぁ。
私は、止まっていた涙が一気に溢れだし、
「……ごめっ、……うぅっ……っ」
2度目の泣き顔。
澤田くんは、泣いてる私を何も言わずに、ただ
ギュッ、と抱きしめた。
「……俺が、いるから……っ」
「え……?」
「俺が、中谷さんの傍にいるから」
……その言葉に安心して、私はゆっくり目を閉じた。