「え……っ」
固まって何も言えなくなる私。
「あーっ、違くて……
困らせたい、とかそんなのはなくて、さ…」
澤田くんは、大きな声を出して顔を隠しながら私に話し出す。
「いやさ、でも嫌じゃん。仮にもデート……
なんだし、他の人のこと考えられるのって」
……え?
「デート……」
ボソ、とつぶやくと澤田くんは、ハッとしたように顔を上げた。
「え!? 違かった?」
顔を真っ赤にして、私のことをチラリと見る。
私は、クスッと笑って澤田くんのことを見つめる。
「ううん、やっぱりデートだよね」
「……よかった」
「私もごめん。ボーッとしちゃって」
そう謝ると、観覧車は動き始めた。
ゆっくり、ゆっくりと。



