「んーっ」
私はグイッと背筋を伸ばすと、澤田くんはジュースを買ってきてくれた。
「はい、オレンジで良かった?」
「あ、うん。ありがと~」
ジュースを受け取り、財布を出すと澤田くんに断られたので、しまった。
それから、少し休憩してから、私たちは観覧車に向かっていた。
「では、次の方どうぞーっ」
女の人にそう言われ、私たちは中に乗り込む。
ガタンっ、とドアが閉められて私達は椅子に座った。
「あーあっ、楽しかったなぁ」
私が遊園地の中を見ながらつぶやく。
「ん、俺も。いきなり誘ってごめん
大丈夫だった?」
「え、私も楽しかったし、ありがとね」
私がそう言うと、澤田くんは安心したような顔をした。
「遊園地なんて何年ぶりだろ~」
「俺この間友達と行ってきたばっか」
「いいなぁ~」
ごみ捨てをしたあの日、澤田くんはたくさんの友達がいることがわかった。
「私なんて前に来たの小6の時だよ」
「え、すっげぇ前じゃん」
私がそういうと澤田くんは、すごく驚いていた。まあ、そうだよね。
中学に上がってからお父さんに何度か誘われた。でも行けなかった。
何かしら理由作って、避ける理由探してた。
「うん。奏太と」
私は、あの時は幼くてただ無邪気にはしゃいでたこの遊園地を見渡しながらソッと呟いた。



