「そうそう、まあ、昔のことだから。今は別に何とも思ってないから。」
私はそう言うとペットボトルに手を伸ばした。
「じゃあ、デートで澤田くんはどんな人なのか見極めてきなよぉ」
朱里の言葉を聞き流しながらキャップを外し口を付けようとした瞬間、隣の席がガタッと音を立てた。
私たち3人は隣の席に視線を移す。
「………っ、」
奏太は私のことをジッと見つめていて、すぐに目をそらした。
「お前ら声でけーよ」
それだけ言うと鞄からイヤホンを取り出して廊下へと姿を消してしまった。
「奏太くん聞こえてたのかねぇ?
ま、あっちもどうせ関係ないって感じぃ?」
朱里は、廊下を見ながらそう言うと携帯に手を伸ばした。
「……別に。」
奏太のことなんて関係ない。
そんなことを思いながらお弁当を食べ終えた。



