もう1度、あの恋を






「だってぇ、このまんま一生恋できないかもしれないでしょ?そんなの嫌じゃないの〜?」


朱里は、そう言ってビシッと箸を私に向けた。
私は呆れた様子で朱里を見続ける。




すると、今まで黙って私たちのことを見ていた芹沢さんが静かに口を開いた。


「……あのっ、聞いてて思ったんですけど…、
美月ちゃんって相沢くんと付き合ってたんですか……?」




その言葉に食べていた卵焼きを喉に詰まらせる。


「んぐ……っ、芹沢さん…!?」



私は胸を叩きながら芹沢さんの名前を呼ぶ。
朱里は一瞬驚いた顔したがすぐにいつもの笑顔に戻ってしまった。



「中学の時に付き合ってたんだよ〜。
色々あって別れちゃったけどねぇ」



朱里のその言葉に私は胸がズキッ、と痛む。




別に関係ない。






過去、のこと。