「……んぐっ、」
飲んでいたお味噌汁がこぼれそうになり、拭きながらお父さんの顔を見る。
普通の顔で、ご飯を食べている。
「え……っと、」
何を言ったらいいんだろう。
考えていると、お父さんは、私のことを見ながらお茶を飲んだ。
ごくり、と飲み込む音が聞こえると、お父さんはまた口を開いた。
「ほら、最近お互いの家に行ったりしてないだろう。何かあったか?」
そうだ。
何を、慌てているんだ。
お父さんは、奏太と私が付き合っていたことを知らないんだ…
「高校生にもなればそんなのしないでしょ、
今さらそんなこと聞かないでよ。」
私は、最後のご飯を口に入れると顔の前で手を合わせた。
「ご馳走様。ほら、お父さん準備しなよ」
食器を片付け、洗った後に身支度を整えて家を出た。
歩いて大きな大通りに出ると、後ろから背中をドンッと叩かれた。



