「いい朝だ〜」
そう言って背筋を伸ばして、隣の家を見る。
まだ2階のカーテンは開かれない。
多分、この先もずっと。
私は、"相沢"と書かれた表札を通って、
大通りに出る。
すると、後ろからポンッと肩を叩かれた。
「美月、おはよぉ。
2年からクラス替えしないからまた同じだねぇ」
そういいながら、嬉しそうに話すのは、
親友の染谷 朱里(ソメヤ アカリ)。
ズバズバいう性格だけど、顔は可愛いし、モテる。だからなのか、男癖が悪い。
「朱里、今は何人と付き合ってんの?」
「んー?何その言い方〜。
別に、朱里は、付き合ってないからね〜」
綺麗に手入れされた指に、カラフルなマニキュアを塗っている。
「ふぅん。遊び、ってことね」
「まぁ、そんな感じ〜」
楽しそうに笑う朱里。
別に、悪い子じゃないんだよ。
話しやすいし、むしろ、いい子。
男癖だけ、悪いの。



