私が、掠れた声で奏太の名前を呼ぶと、奏太は、私の腕をグイッと引っ張った。
奏太の胸にスポッと入ってしまい、私は、身動きが取れなくなってしまう。
「あのさ、帰せって言ってんの
これ以上、コイツに近付くな」
奏太は、今まで聞いたことのない低い声と、未だに頭によぎる冷たい目で、彼を見つめていた。
しばらく、冷たい目で、見下ろすと私の腕を引っ張りカラオケから出た。
きちんと掴まれた腕は、痛くて、私は、痛みを我慢しながら、奏太に付いていくのが精一杯だった。
「……ちょっと、……ねえっ、」
私がそう言っても奏太は止まりもしない。
ただ、前を見てどんどん進んで行くだけ
しばらく歩いてから、家の近くになると歩くスピードをゆるめた奏太。
そして、腕をパッと離した。
「………痛っ、」
離れた腕をキュッと掴み、私はそう呟いた。



