「……そいつ、美月。
門限早いから帰らせてやって」
そう言って、私を指さした相手に私は驚きを隠せない。
「少しだけいいだろ〜」
まだ私の肩から手を話そうとしない男子。
逆に、さっきより力が強くなっている。
ビクッとして、固まっていると、彼はズカズカと私の前に来て、肩にある手を払った。
それにも、またびっくりして、「なん、で…」そう声に出してしまう。
ねえ、どうして
私のこと嫌いなんじゃないの?
だから無視してるんでしょ?
今も、無視して帰ればいいじゃない。
なのに、ねえっ……
「……っ、奏太……」
私は、掠れる声で彼の名前を口に出していた。



