もう1度、あの恋を




なに?



朝の話聞いてて来たわけ?



私は、奏太のことばかり考えていて隣の男子なんて忘れてた。



このままここにいたらきっと、変な雰囲気にしてしまう。そう思って、私は「トイレ」と嘘をついて部屋から出た。





「はぁ…」


トイレの個室に入ってため息をつくと、ドアが開く音がした。それと同時に女の子の話す声も聞こえる。




「ってかさ、誰? 朱里連れてきたの」

「え~?だって、うちらの話聞かれちゃってさぁなんかその場の勢いで……」



……この声って、あのカラオケの子たちだよね



朱里と仲いいわけじゃないの?



私は、耳をすませて聞いている。




「なんなの、あの子。
ほんとにむかつくよねぇ」


「中谷さんは別にいいけどさ、まじ朱里むかつく。男はやっぱりみんな朱里なんだよ」



どこか、おかしいと思ったんだ。


クラスの子とは結構話したりする朱里だけど、遊びになんて行った事は無いんだから。



ましてや、男癖の悪い朱里を合コンに誘うなんてありえない話。



私は、ガチャと鍵を外してドアを開けようとした時、耳に入ってきた言葉に驚いた。




「で、今1人じゃん?
襲われてたらまじ笑う~」


「ほんとうちら性格悪くない?」


笑い声が聞こえた。



あの男子の群れに置いてきたの?



私はトイレのドアをバンっと開けると女の子たちの前に立った。