もう1度、あの恋を





机に座っていると、ガラッとドアが開き視線を移すと澤田くんが立っていた。




「ごめん、待った?」



そう言って近寄ってくる澤田くん。



「ううん、大丈夫」



私は、微笑んだ。





少しの沈黙。





その後ゆっくり口を開けて澤田くんがこう言った。







「……中谷さんが好きです、俺と付き合って、くれますか?」










………何となく、そんな気はしていた







「………何回、澤田くんの彼女だったらって考えたんだろう。たくさん考えたよ。でも、どんだけ嫌なことされても、冷たくされても……っ、
すぐ……すぐ顔に浮かぶのは……っ、!」




そこまで言ったら、澤田くんが声を被せてこう言った。





「すぐ顔に浮かぶのは、奏太だって?」





まるで、私の答えを知っているかのように





「………えっ、?」





私は、かぁっと顔が赤くなっていくのがわかる。頬を触りながら下を向くと澤田くんのため息が聞こえた。






「答え知ってた。いくら俺といても抱きしめたって、顔真っ赤にしない中谷さんが奏太の事になると傷ついた顔するし、すぐ赤くなるし…。」


澤田くんは、どこか切なげに話し出す。



「ほんと、奏太ずるいよな」




そして切なそうに、呟くとハハッと笑った





「だからさキッパリごめんなさいって振ってよ」




その言葉に、私は泣きそうになったけど我慢をした。





傷ついた私を一番最初に癒してくれて、たくさんの笑顔を私にくれて、こんな私を好きだって言ってくれたんだよ







なのに、なのに








どうして私は、奏太なんだろう







「……ごめんなさいっ、」




スカートをギュッと握りしめながら頭を下げてそう言うと、澤田くんは笑った。