「……ねえ、美月いい加減にしてくんな~い?」
「え……?」
ハッとすると朱里は口をふくらませながら私を見ていた。
「なんなの?ほんと、ポカーンとしちゃってさぁ。もうさ、この際見つめちゃったら?」
「……何を?」
私は、お弁当の玉子焼きを口に入れようとしながら尋ねる。
すると、朱里は、ニヤッとした
「奏太くんが好きってことを」
…………は?
「何言ってんの?」
もう、好きにならない
だけど、だからって、逃げるのとは違う
「だって、美月がポカーンとしてる理由って奏太くんでしょ?」
「間違ってないけど好きとかじゃないから、いつ話そうか考えてただけだから」
フンッと二個目の玉子焼きを口の中に放り込んだ。
そして、午後の授業を終え、清掃が始まった。
ゴミを持ち、廊下に出ると肩を叩かれて上を向く。
「あ、澤田くん、久しぶり」
「中谷さん、あれから大丈夫だった?」
あ……。そうか、澤田くんにはいろいろ迷惑かけちゃったし、ね。
「お蔭さまで。本当にお世話になりました…」
ペコッと頭を下げると、澤田くんは慌てて私の頭を上げさせた。
そして、私のことを見つめると真剣な顔をした
「……放課後、話あるんだけど、いい?」
「放課後? 別に大丈夫だよ。」
「よかった。じゃあ、教室に居てくれる?」
教室……?
「うん、分かった」
そう言うと澤田くんは、お辞儀をしてクラスに帰っていってしまった。
話、かあ
そんな事を考えながらごみ捨て場まで歩き始めた。



