もう1度、あの恋を




家に帰り、食材をリビングに置くと部屋に行く。そして、私服に着替えてから下に行く。


ソファーに置いてあるエプロンを着けると、
いつものように台所に立つ。


「お父さんは、帰りが遅いから~」


私は、お父さんの予定を確認しながらも、2人分を作り始める。最近、お父さんは忙しくていつもラップで冷蔵庫に入れてある。




火をかけて、具材をかき混ぜてると、ふとさっきのことを思い出した。



"傷ついたんだぜ?"




本屋で会った男子の言葉。




傷ついたって……どういうこと。




だって、あの時、普通に笑っていたのは
奏太の方でしょ?





………ジュー、と少し焦げた匂いがして慌ててお皿に盛り付ける。



さっきまで考えていたことを忘れるように
私は、急いでご飯の準備をした。