本屋に入り、好きな小説コーナーへと行く。
そして、本を手に取ってパラパラと読む。
「あ、新刊出てる」
男子のうるさい声が聞こえる。
これは、クラスの男子の声。
しかも……
「お、これ奏太の好きなヤツじゃん」
奏太までいるし。
私は、見たい本をささっと持ち、レジに向かおうとする。
「後ろは、小説コーナーか。
そういえば、中谷って本好きそうだよなぁ」
……えっ、
その言葉に、びっくりする。
なんで、なんで私の名前……
「あー、おいっ!お前余計なこと言うなよ」
沈黙を破ったのは、多分、中学校が同じの男子だ。私は、ふぅ、とため息をついた。
「え?なんで?」
とぼけた声が聞こえ、私はハッとする。
「こいつ、中谷と色々あってさ、
傷ついたんだぜ?」
………え?
傷ついた……って、?



