返事をすると、絢乃ちゃんはのぞき込むようにインターホンを見ていた。
「今、でるね……」
そう言って、少しだけ乱暴に置いてしまう。
私は深呼吸をして、ドアをゆっくりと開けた。
「部活から帰ってきたら、美月がいきなり出て行った~ってお母さんから聞いて……どうした?」
私は奏太の家族の優しさが怖い。
甘えそうになるからだ
「……ううん、なんでもない」
首を横に振り、ニコッと微笑むと絢乃ちゃんはタッパーを差し出した。
「ほれっ、じゃあこれ食べなよ~
うちのお母さん手作りのオムライスだよ~」
そう言って、優しく微笑んだ絢乃ちゃんは、手を振ってから隣の家へと戻って行った。
……ね?
すごく優しいでしょ?
「………あり、がとうっ」
ガチャっとドアが閉まったあと、私は玄関にゆっくりと腰を下ろし、静かにそう呟いた。



