立ち止まる私の後ろから、スタスタと歩いていく絢乃ちゃん。
ガシャンっと門を開け、その音に気付いたのか奏太が後ろを振り向く。
「ほら、楽しんできな」
絢乃ちゃんはそう言うと、自分の家に戻っていき、私と奏太の2人きりになった。
「……ごめん、待った?」
私が、少し近寄り、そう尋ねる
「いや、出てきたばっか」
奏太も無愛想にそう言う。
「……ふぅん、そっか。
じゃあ行こう」
私がそう言うと、奏太は頷いて私の手をギュッと優しくどこか緊張した感じに握った。
それが愛おしく感じてしまう私は、握られた手をずっと見ていた。
「……浴衣、着付けてもらったんだ」
たくさんの人が神社に向かっている中、奏太が口を開いた。
「え? うん、どう?」
私が、勇気を出してそう言うと、奏太は一瞬目を見開き、その後ぷいっと逸らされた。



