実際の彼を口頭で説明するよりも、見た方が早いと思った。

 既に三日か、歩き続けて。

 悲鳴を上げる身体を労り、時折休憩を挟んでここまできた。

 「…もしかして…彼は今キュイと言うお名前ではありませんか?」

 問いには無言でうなずいた。

 伝説になるだろう彼の残酷さは、既に耳に入っているらしい。

 次第に彼の統治する国に近づいているのだから、そう考えるのも不思議ではなかった。

 不安そうな彼女、前回の彼女は彼に殺されていた。

 その記憶がどれ程あるかは定かではないにしても、不安だろうことは想像出来た。

 「…もうとまれない。動き出した歯車を戻すことはできない」

 永遠を誓っただろう、幾億の年を経ても、変わらない。

 どんな姿になろうとも、変わらずに居続けると。

 だが、実のところ、それを誓ったのは彼女一人であった。

 変わらずに居続けると、誓ったのは彼女一人だった。

 それを、彼女は知らないわけではない。

 それでも信じているのだ。

 同じであると。