「はあ、はあ・・・」

二年二組に着き、私はガラッと教室のドアを開けた。
しかし、そこには誰もおらず、ただ西日が、教室をオレンジ色に染めていた。


現在の時刻、午後五時二十七分。


灯は今までずっと、こんな私を待ってくれていたのだ。
だから、ほんの三分待つくらい、なんてことないし、灯の足下にも及ばない。

もしも灯が心変わりしちゃって、約束の時間に来なくても、私はずっと灯を待ち続ける。

今度は私が、灯を追いかけるから。


「・・・・。」

何気なく目を向けた先に黒板があって、私は吸い込まれるように、それに近づいた。
そして白いチョークを手に取ると、相合傘を書き始める。


確か、相合傘を書くときには、いくつかルールがあった気がする。

相合傘は一筆で、傘の中を割らずに書くこと。
女子の名前は右側、男子は左側に書くこと。

一つ一つ思い出しながら、丁寧に書き上げていく。