そんな時に魁斗が私にもう1度
ピアノの楽しさを教えてくれた。


あの日からまたピアノを触る回数が増えた。
1曲弾き切ることも出来た。


また、私にピアノをする
きっかけをくれたのは


他でもない魁斗なんだ。
ホントにありがとう。



って一気に言い終わると
涙が流れたあとが頬に伝ってて


私、泣いたんだ。ってその時自覚した。
魁斗は私をギュッと抱きしめてくれて


辛いのに話してくれてありがと。
梨菜の音は誰よりも綺麗な音だよ。


って言ってくれた。
私の涙腺はもう崩壊して


わんわん泣いた。
魁斗はその間ずっと抱きしめてくれてて


涙が引いた時に私は
「魁斗のこと誰よりも好きだからね。」


って言った。
魁斗は全く…もう。急すぎんだよ。
みたいな顔して


「俺も梨菜の事、ずっとずっと愛してる。」


って言った。
私は愛してるの方がずるいし!


と思って顔を真っ赤にした。
だから、顔を下に向けようとすると


青い目が私を離さなくて
私たちはそっとキスをした。


魁斗とは初めてじゃないけど
いつもよりドキドキして


今日は寝れそうにないなって思った。


それでも魁斗。
私は我儘だし破天荒で振り回しちゃうけど
ずっとずっと私のことをよろしくね。


って心の中で呟いた。
魁斗も心の中で同じことを呟いた
と知ったのはこの何年も後のこと。




end