すきなのに!!

万里くんがあたしの手を何か言いたそうにぱんぱん叩いたので手を離すと小声で話し出した。


ブルーアッシュを見た途端、目の色が少し変わる。




「あれ…如月 遊じゃん」

「きさらぎ、ゆう…?」



万里くんがあたしの耳に口を寄せた。



「南栄のトップ」

「と、トップう…っ?!!」




思わず大声が出て万里くんの手がピシャリと飛んできた。な、なんちゅー力…!!



「……なんか今、声しなかったか?」



騒いでいた不良の声がピタリと止む。

その分あたしの心臓の音が大きく聞こえる。



見つかったら終わりだ。




変な汗が背中を流れ、思わず後ろに下がったから万里くんにぶつかってゴンって割と大きな音が鳴っちゃってあたしはパニック状態である。




「この、タンスからか?」

「透呼んでこーい」




え、嘘?!

どうしたらいいの?隠し扉とかないのかな?!


万里くんの手を掴んであたしは挙動不審に動いた。万里くんに小声で「うるさい!」と怒られた。


でももう見つかってるよ…!!



ブルーアッシュが近づいてきてタンスに手をかけ、一気にドアが開いた。


外にいた不良はあたしたちを見て目を見開いたと思ったら急に青筋を立てて怒り出し、拳を鳴らしてる。



「お前ら、さっきの…!」



す、スキンヘッドが睨んでるううう!!


恭ちゃんたちは何かを察したのか、それとも南栄のみなさんから事情を聞いたのか、あちゃーと頭を抱えている。


あたし、路地裏のときよりやばい状況にいる。トップがいるし、もうすぐしたら透が来る。


透はあたしに殴りかかってきてもおかしくないよ。なんてったってあたしは透に飛び蹴り+竹刀で打ち込んだ女だからね…。


トップはあたしたちを外に引っ張り出してそのまま床に放り投げた。結構痛いじゃん。


ブルーアッシュは冷たい目で万里くんを見下ろす。


トップだからかわかんないけど、周りとオーラが明らかに違うような気がする。


この人の一言でたくさんの人が動くのかと思うとちょっと納得かもしれない。


そう考えると朋稀って…なんなんだ?

頼りにはなりそうだし、まぁ…たぶん優しいだろうし、リーダーシップ取れそうだし。


トップってあたしが思ってたよりすごい人みたいだ。




「矢野、この女何者だよ」