すきなのに!!

「ね、あれ万里くんじゃない?」


「え?!嘘!!てか隣の女子誰よ?」


「矢野くん可愛いー!」





やばいやばいやばい。めっちゃ注目されてる!!しかもあたしに向けられてるの嫉妬のこもった恐ろしい視線なんだけど!



あたしはビクビクしながら廊下を進んでいた。「シャキッとしろ」って人見知り疑惑浮上中の矢野万里氏に言われた。いや、アンタのせいだぞ。



2人で叩き合いながら歩いていると目の前には肝心の教室が。今は2時間目と3時間目の間の休憩時間。


万里くんが入ってきたら皆どうするんだろう。


…いや、あたしが万里くんと入ってきたら皆どうするんだろう。


入った瞬間、女子に刺されたらどうしよう。マジでシャレにならないぞ。救急車はえっと…何番だっけ?110?いやそれ警察だわ。



…あたしのタイミングで入ればいいんだ。そうだそうだ。さあー深呼吸してーいっちにーさんしー……





「栞おっはよー!!…あれ?!もしかして万里くん?!!」







そのダークブラウンの長い髪は…。





「茉央ちゃ…!!」




「おはよ栞。茉央ちゃって何?」




「もうイヤ。茉央ちゃんイヤ」



「は?」





あちゃー。

心の準備が整う前にクラスの皆に注目されちゃったじゃんか。茉央ちゃんのKY!大声!馬鹿!美人さん!


おっと最後のは関係なかったね。




なぜあたしがこんなにクラスの人に怯えているのかというとね。




「ちょっと村山さん」





ほら来たー。


うちのクラスの怖ーい女子軍団。


通称・不良親衛隊。




ほらほら、朋稀たちってば顔だけ人間なわけだから当然ファンも多いんだよ。


といってもアイツらは不良だから皆近寄り難くて、親衛隊のほとんどはただ朋稀たちを見てきゃーきゃー騒いでるだけなんだけどね。



でもまあ敵に回すといいこと1つもないよって中学から持ち上がりの茉央ちゃんに言われたから距離を置いてたんだよ。



今この学校で不良に1番関わってるのは間違いなくあたしだからね。




なのに、なのに…!!




今、ざっと10人の親衛隊にめっちゃ睨まれている。



うわぁ…怖い怖い怖い!!

山田スキンヘッドより100倍くらい怖い!!