2つ並んだお弁当を見るのが楽しくて、嬉しくて。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
はるにそう言って、午前の授業を済ませた私はお弁当を持って教室を出た。
数学準備室までの足取りは軽く、周りに誰もいないことを確認してドアに手をかけた。
「失礼します」
あまり音を立てないように、ドアを開け中に入ると、また先生がソファに寝転んでいるのが見えた。
「ちょっと、なにサボってるんですか」
「あー?今休憩だから良いだろ。教師だって休み時間に休むことは大事なんだよ」
そんなこと生徒の私に聞かせて良いのか。
そう言って、先生は体を起こし伸びをした。
「はい、これ。今日のお弁当です」
「おー後で洗って返す」
「いいですって。先生洗うの下手そうだし」
「おい」
そう言って怒ってみせる先生の顔はどこか楽しそうに見えた。
先生って無愛想だと思っていたけど、案外表情筋が柔らかい。

