気づいた時には、 口が勝手に動いていた。 「帰るところがなくて泣いてるんです」 そう言った瞬間、王子の顔に分かりやすく困惑した表情がうかぶ。 どういうこと? そう尋ねる王子の声は固い。 「わ、私、住み込みで働いていたお店を、クビになってしまって…」 少しの沈黙が流れた。 あぁ、私ったら何いってるのよ… 襲ってきたのは、後悔以外の何者でもなかった。 なに、こんなこと言って関係ない人困らせてるの。 それに相手は ─────冷酷王子。