闇の鬼~影を纏いし者~

夏子が、社の扉に手を掛け押した。


「?! 開きません! なんで? 」


「夏子・・・・・・。

押すんじゃなくて引くんだ。大抵の和物は引くんだぞ。」


どこまで天然なんだ。
緊張感の欠けらも無いな。


「え?! 嘘?! やだ! 先輩早く言ってくださいよ!


改めて、開けます!! 」


夏子が、社の扉を引くと、抵抗なくすんなりと開いた。
やっと刀を目にする事ができるのか。
そんな僕の思惑とは別の言葉が夏子から発せられた。


「なんにもないですよ! 刀ってここにあるんじゃないんですか?! 」


刀がないって?!
どういう事だ。
僕達の他に、ここに誰かきたのか?
それとも・・・。


「困っな。ここに刀が納められてるんじゃないのか? 社はこれ一つだけだ。次郎さんも、刀を確認したらと言っていたが、ないんじゃ話にならないな。」

どこを見回しても刀や、社のようなものは他にはなかった。


「待って!

・・・・・・・・・。

ここじゃない? 動いた? ここじゃない。

そう言っているわね。どういう事かしら? 動いたって。刀が自分で移動するのかしら? 」


「まさか?! 足とか生えちゃってるんですか? それって、気持ち悪いかも。」


「そんなわけないだろう。しかし、参ったな。何かしらの力で場所を変えたのか? そうなると、刀本体にも能力があるって事か。まあ、巫女の能力で作られたものだからな。」


どこまで突っ込めばいいんだ?
足が生えた刀って・・・。
夏子の発想には驚かされる。