「はいストーーップ!」



そこで声をあげたのはまゆだった。



仮縫いのジュリエットの衣装を着たまま3人の間に割り込んで行く。



まるで、戦乱を止めに入った綺麗なお姫様。



「んー、とりあえずさ、楽しくやりたいじゃん?だから、もうちょっと分かり合う必要があると思うの」



教室中が静まり返って、まゆの声だけが響く。



「だから、朝比奈君と須藤君は他の人のこともうちょっと考えてくれたらいいかな〜って。遊んでてぶつかったりしたら大変でしょ?」



2人の手を握って優しく笑いかけるまゆ。



「「お、おう」」



2人ともちょっと恥ずかしそうにしながらおとなしくなってくれた。



「神谷君も、そんなにカッとならないで?朝比奈君も須藤君も頼めばちゃんとやってくれる人だから!もちろん、神谷君にも期待してる!」



今度は神谷君の手を握って笑いかける。



「ああ…」



神谷君も少し顔が穏やかになる。



「さぁみんな!作業に戻ろう!時間は待ってくれないよ!」


その一言でみんなが作業に戻り始めて、喧嘩していたはずの3人も仲直りしている。