「私も笑っていたい。でも…私には辛いことしかないの。龍人の背中を押すと、私の恋は終わっちゃう。でもこのまま龍人の足を引っ張るのも嫌…」



私、なんてワガママ言ってるんだろう。



どっちもなんて無理に決まってる。



バカみたい。



でも…うん、やっぱり、どちらかを選ぶとしたら…。



それは決まってるよね。



「でもね…龍人の足を引っ張る方が嫌なの。だから…だから、もし私が龍人の背中を押して……その時は…」



「笑わせてみせる」



迷いなくそう言い切った工藤君は、今までのどんな時よりも頼もしく見えた。



「…っ…うっ」



ついに堪えられなかった涙がこぼれ落ちた。



どんどん溢れ出る涙を手で必死に拭う。



ギュッ…



突然私の目の前は黒い学ランでいっぱいになった。



「俺が笑わせる。絶対笑わせる。だから今は思いっきり泣け。受け止めてやるから」



私は工藤君の胸なの中で泣いた。



たくさん泣いた。



どれくらい泣いたかわからない。



その間ずっと工藤君は私の頭を撫でながら付き合ってくれた。