照明が消えてナレーションが入る。



次に明るくなった時にはセットがガラリと変わって、次はロミオ一家のシーンだった。



龍人頑張れ…。



心の中でそう呟く。



龍人のロミオはなかなかすごかった。



工藤君には敵わないかもしれないけど、それでも一生懸命なのが伝わってきて応援せずにはいられない。



衣装もなかなか似合ってる。



工藤君と龍人は身長も同じくらいだし、ぴったりのサイズでよかった。



セリフだってちゃんと覚えて……ん?



ちゃんと話してはいるけど、何かが違う。



たまに目線が逸れるような…。



「あ!」



カーテンの裏から、セリフを書いた紙が見えた。



あれで確認しながら演じてるのか。



まぁ昨日決まったんだし、しょうがないか。



「みんな楽しそうでいいね」



隣で見ている陽奈乃ちゃんも楽しそう。



「うん!」



ちょっとトラブルはあったけど、みんないい顔してる!



このまま何も起こりませんように…。