夜になると、“あいつ” が帰ってくる。
ひどいときは、酔っぱらって夜中に。
夕方になると、小学校から涼太が帰ってくる。
そして、中学生になったばかりの咲良も。
麻尋は、夕飯のしたくをしていた。
「おかえり。涼太、咲良。学校どうだった?」
咲良は、新品の征服につつまれて、そのカバンを置いた。
「疲れたー。クラス発表に入学式って続いてさぁ... 。でも、仲が良い子と同じクラスになれたんだ!...あ、手伝いするよ。」
着替えてくると、部屋に向かった。
「ん、ありがと。お願いね。涼太も、そこのちびちゃんの面倒みてあげて。」
「わかったー。」
めんどくさそうにしながらも、やってくれるので助かる。
麻尋は、おわんにご飯をいれ、テーブルにならべた。
「はーい、ご飯できたよー。ちっちゃい子組おいでー。」
ちっちゃい子組は、拓実、優衣、涼太。涼太がまとめ役で。
「なぁ。俺いつまでちっちゃい子の中に入るんだよ。もう5年だし。」
そう言いながら、拓実と優衣のご飯を準備してる。
「助かるよ。そうやって面倒みてくれるから。」
いつも、7時にちっちゃい子組が食べて、それが終わってから麻尋たち、中学生以上が食べる。
だいたい、そのあとだ。施設長が帰ってくるのは。
「いただきまーす。」
麻尋と咲良、美波がご飯を食べ始める。
「ごめん... 。もう冷蔵庫の中からっぽでさ。あるもんでしかつくれなくて。」
みんなでテーブルの中心に寄せられたタコさんウインナーを箸でつつく。
今日の晩御飯は、ごはんに大根の味噌汁、野菜炒めに、1個ずつのタコさんウインナー。
量が少ないし、それをみんなで分けなくちゃいけないから、ひとり分はもっと少ない。
でも、お金をもらってないから勝手に買いにいけないし。
「麻尋ちゃん、おいしいよ。」
「うん。私よりおいしー、麻尋。」
いつもほめてくれるふたりには感謝しててる。
少ない晩御飯は、あっという間に無くなってしまう。
そのときだった。
ガチャッ
......そのとき、あたたかかった空気は、 一瞬で凍りついた。

