好きになってください、先輩。

「気にしないでくださいよ。
これくらい、何てことないです」


スッと手がのびて、抱えていたノートを奪っていった。


「……え、え……?」


今の、何……?何でノートを取られたの?
まさか土下座して謝るまで返さないとか……!?


それは困るよ……!でもノートは返してもらいたいし……


突然のことで混乱する私に、男の子は問いかける。


「女子にこんな重いもの、持たせるわけにいきませんよ。半分持ちます。職員室まで運べばいいんですか?」


どうやらノートを運ぶのを手伝う、と言ってくれているようだ。それはすごくありがたいけど……



「いや、大丈夫ですよ!?私一人でできます!」


そんなの申し訳なさすぎる……!拾ってくれただけでもすごくありがたいのに……。


「さっきも運びながらフラフラしてたじゃないですか……危なっかしくて俺が見てられないんです」


でも私はその細い腕で運びきれるかのほうが心配なんだけど……なんて、言ったら怒られそうだからやめた。



これ以上もめていても仕方がないし……



「……わ、分かりました。ありがとうございます……」



「どういたしまして。じゃあ行きましょうか」




男の子は足元の安全を確認するため、職員室まで前を歩いてくれていた。


それにさっき『半分持ちます』と言われたけれど、


今私が持っているのはほんの数冊だ。つまり、残りの


30冊近くはこの男の子が持ってくれているのだろう。


それでもときおり振り返って「大丈夫ですか?重くないですか?」と聞いてくれるのはとても嬉しかった。


見た目だけじゃなくて、心まで綺麗な男の子なんだろうな。


……でも、そんな人が、どうして私なんかを助けてくれたんだろう……?


困ってるなら見ず知らずの人でも助けてあげたいって考えるくらい、思いやりのある人なのかな。