「何……これ…………」


映画でも見ているのだろうか。私の目の前に広がったのはホラー映画に出てきそうな長い髪のゾンビ。

大きさも桁外れで、百七十センチメートルはあるであろう彼の倍以上はある。

怖さのあまり足がすくんで動けない。気付かれたらきっと襲われるかもしれないというのに。


私とは正反対に彼はそのゾンビに立ち向かっていく。自分だって逃げないと危ないはずなのに。

だから私は叫びそうになる。“逃げて”と、人のことを言えないセリフを。なのに、だ。

彼が拳を振るい、ゾンビに攻撃をしている。

ドスッと言う鈍い音がしてゾンビはよろめいたけれど、倒せるほどには効いていない様子。

それでも彼は拳と蹴りをゾンビにお見舞いし続ける。

さすがにそれだけでは無理だと思ったのか、今度はなんと……。


「拳銃!?」

「えっ!?」


私としたことか。思わず大きな声が出てしまった。