そんな彼の足元には人が何人か倒れていて、全員が学ラン姿。

近くには金属バットと鉄パイプが転がっている。

私はそれで察した。これはで喧嘩だと。こう言う時はどうすればいいのだろう。救急車? おまわりさん? 

それとも両方? とにかく誰か呼ばないと、と頭がぐるぐるしだしたその時だ。


「…………誰だ!?」


気付かれてしまった!? 誰かを呼ぶよりも、自分の身の安全を守らなければならない。

瞬間的にそう感じ、悪いことをしているわけではないのに逃げ出そうとした。それなのに。


その向けられた声は私にではなかった。何故ならその証拠にその声の主はこう言ったのだ。


「ちっ! まだいたのか! この時間にしては多いな」


舌打ちと、何かいけないものに遭遇したかのような苛立ちを感じさせる声色。

逃げるのをやめて恐る恐る再び覗き込めば……。